2005年03月15日

木に風がふりそそぐ




2005年の入試が終わった。

君との授業も終わった。

君がこんなに大きくなるとは。

君がこんなにかっこいい奴とは。


Bグループが第1志望校で、今年はBグループから。

君の点数が気になって、気になって。

電話をした。

君は、いつにもまして明るかった。明るく振舞っていた。

君の得意科目は英語。満点狙い。

「先生、聞いて聞いて。英語14点。」

受話器から笑顔がこぼれていた。

この電話までも、君はなぜがんばるの?

なんてことだ。心で叫ぶ。

それから、

「先生、聞いて聞いて。理科はもっとやっちゃった。10点。笑っちゃうらー。」

何も笑えないよ。何も。涙をこらえた。

志望校への望みが遠ざかる船のようにどんどん消えていく。

笑顔の電話に、笑顔で

「なにやってんだ。」と答えた。他に言葉が見つからなかった。

君の精一杯の、やせがまんの、こみ上げる悔しさをひた隠す

笑顔の電話に、自分も。

そして、Aグループ前日最後の授業。

「明日が第1志望であろうとなかろうと、

明日は中学校生活を締めくくる最後のテストだ。

そこで、自己ベストを出そう。自分のためにやって来い。最後のテストで

決めて来い!」

君に伝えたかった。塾講師になって、このようなことを言ったのは2度目だ。



Aグループの入試が終わった。

君は会心の結果を残した。

君は最後に決めた。

君も逆だったらよかったのに、なんて微塵も言わなかった。

10年前に教えた真名美のように。



太陽の光が木にふりそそぐ。

時には木に雪がふりつもる。

冷たい雨のときだってあるさ。

 

  でも、

  木に風がふりそそぐよ。

  木にあたたかい風が。

  木にそよ風がふりそそぐよ。



そうして、楓(かえで)となる。



楓という落葉高木は5月ごろ、小花をつけ、後に

2枚の翼を持った果実をつけるらしい。



そう、君も翼を広げ、夢という果実をいつか

いつの日か、実らせるだろう。



笑顔といっしょに。





posted by Mr.Kaitaku at 10:36| 強く感じた