2007年12月20日

寒空の下、すする味噌汁のように


屋根がない、
ドアノブがない、
サイドウインドウがない、
カーステがない、
パワステもない・・・

そんな不便で、不完全きわまりない車にほぼ毎日乗っている。

通勤も遠回りすることが多い。
フレックスの日は、たいてい広田君の誘いがあり、
午前から山や海や湖へ。

それにしても広田君の道の詳しさには、本当に驚く。
まさに、どんだけー、って感じだし、
それこそどんだけガソリン代使っとるんや、と思ってしまう。

しかし、そのおかげで本当に素晴らしい道、素晴らしい場所
を知った。ありがとう。情報を提供してくれて、ありがとう。

いつも思うが、いい事を教える人は、その数倍遠回りをする人。
いい道を知るには、どれだけどうでもいい道を走り、迷ったことか。
教えてもらう人は、最短コース。
早い、速い、便利。

自分は、通勤のようにいっぱい遠回りをしてきた。
そんな不器用で、どんくさいが、
それでいいように少し思えてきた。

いろんな意味で道を教えたいなあ。みんなに。
いっしょに走りたいなあ。
楽しく。
時には、思いがけない雨に降られたり、
寒さに震えたりしながらも、
ちょっとやせがまんして、
「全然寒くないよね。ヨユウ、ヨユウ。楽しいね。」
なんて言いながら。
最近、この会話二人では多い気がするなあ。

くさいけど、
空気、風、エンジン音を感じて、感じて。
否が応でも目に飛び込む風景たち。
木々のゆれ、色。

何か、生きてるなあ、って。
自分もまわりも。

いろんなことを考えさせられてしまう。
こんなことをここで書いていいかわからないが、
高校時代、バイクで真冬の夜中に竜平と
新城や蒲郡の親友に会いに行ったこと
なんかも思い出す。
なつかしいなあ。
あの寒さがリアルによみがえる。
そして、楽しさも。

先週の月曜、朝からロングビーチへ広田君と
走りに行った。
その帰り道、田原の道の駅の付近の交差点。
前方で信号待ちをしている二人のおばあちゃんがいた。
80くらいのおばあちゃんが、90くらいのおばあちゃん
の車椅子をひいていた。お姉さんなのかなあ?

自分はちょうど赤になり、信号待ち。
真横に二人がたちどまっていた。

そのとき、80くらいのおばあちゃんが言った。

「わー、かっこいい車。」
そして、車椅子が動き出した。

「かっこいいなあ、こんな車にいつか乗ってみたいなあ。」

自分は、ただだまって信号を待っていた。
心の中で「のっていいよ。こんな車でいいなら。」

はじめて、おばあちゃんをなんぱしたくなった。
2シーターじゃなかったら、きっと声をかけただろう。

なんて素敵なんだろう。
80になって、「かっこいい。」
って言える人。かわいいし、それこそかっこいい。

そして、信号が青になった。振り向きもせず、
自分は車を走らせた。

ちょっと待てよ。
このおばあちゃん、本当にかっこいいって思って
かっこいいって言ったのかなあ?

もしかしたら、車椅子のお姉さんかもしれない人に
目に映るものにいつも言っているのかも。

花をみて、「わー。きれい。」
車椅子のおばあちゃんを少しでも前向きにできたらいいな
と思って、目に映る全てのものを肯定してるのかも。


どちらにしても、寒空の下でまるで味噌汁をすするときのように、
心が温まった。

もし、屋根があったなら、
もし、サイドウインドウがあったなら、
もし、カーステがあったなら、

きっと聞こえなかった声。

今週の月曜日、またロングビーチへ行った。

あの交差点にさしかかった。
あのおばあちゃんいないかな。

青信号をちょっと憂いながら、
ずれかけたニット帽をなおし、
帰り道を。
posted by Mr.Kaitaku at 00:49| なにげない日常